(1)イギリス・ミルトンキーンズ視察

-調査結果
イギリス・ミルトンキーンズ視察
▼ミルトンキーンズ投資情報会社(Invest
in Milton Keynes)
の訪問>
対応者:アラン・バンクス氏 参考資料:http://www.imk.co.uk

●ミルトンキーンズ市の概要
 ミルトンキーンズは、ロンドンとバーミングガムの中間点に位置し、ロンドンから電車で約40分で到着することができる。高速1号線のインターチェンジを2カ所、市内に有し、また、ミルトンキーンズとロンドン間の電車は100本以上あり、ロンドンへの交通アクセスも便利である。リバプール、キューバリットやイーストコーストといった良港へのアクセスも便利であり、また、ルートン、スタンステッド、ヒースロー、バーミンガムといった周辺の空港に車で75分以内にアクセスできるという好立地である。

 ミルトンキーンズは、東京の山手線の内側とほぼ同じ面積であるが、市内は車で20分以内に到着できるように設計した。碁盤の目に配置した広い道路とロータリー方式の交差点、歩行者が車道を横切ることがないように車道と歩道は別に配置した(写真:市内の交差点、車道の下に歩道を通している)。

市内の交差点、車道の下に歩道を通している

 また、商工業地をある地区に集めることによる通勤ラッシュを回避するために、商工業地を市内に分散させ、その周りに住宅地を配置した。
 人口は23万5千人で、2001年までに25万人に達すると予想されている。30歳以下の人口比率は46%と英国平均の41%をうわまっている。
 街の産業構造は、英国平均と比べると生産業が占める割合が少し高い。また、海外企業誘致も盛んで、500社が海外企業である(内70社強が日本企業)。年平均6000件ずつ雇用口が増えている。さらに特徴として、自治体、商工会議所、English
Partnership(土地を持っている者)、企業・団体で構成されているEconomic Partnershipが経済動向を研究し、25年後までを見立てて経済戦略を立てている。


●Invest to Milton Keyens社の役割

 
6名のスタッフで構成している株式会社である(利益はミルトンキーンズ市へ)。
 業務は次の通りである。

   ・建物・土地探し

   ・雇用者・事務所の移転サービス
   ・住宅に関する問い合わせ対応
   ・プレゼンテーション
   ・VIP訪問の対応
   ・進出後のアフターケア

▼質疑応答

Q:

日本の不景気を回復すべく、「IT改革」に日本政府も力を入れているが、ミルトンキーンズのIT関連企業の状況について教えて欲しい。
A: IT関連産業は英国でも重要視しているし、ミルトンキーンズに進出している企業の中でもソフトウェア開発、ハードウェアの他に、英国で言うドットコム産業といわれる電子商取引を行う企業も進出している。情報技術は、生産コストや流通コストを削減し、早く・良質で安くするために大半の企業で活用されている。
   

Q:

Invest to Milton Keynes社はどのような経緯で設立されたのか。
A: まず、1960年に英国が強制土地購買権を使い土地を全て買い取った。その後、民間資本を含む開発団体にインフラの整備などの業務をゆだねた。街としてやっていけると判断された1996年にこの開発団体は解体されたが、また、4分の1の土地が未開発であったため開発団体に代わる組織が必要であるとなり、Invest
to Milton Keynes社が設立された。当社は株式会社制をとってはいるが、利益はミルトンキーンズ市に還元している。
   

Q:

日本ではよく土地買収が進まないケースがよくあるが、ミルトンキーンズではそのような問題はなかったのか。
A: 当時、3つの村があったが、ほとんどが農地であったため土地の買収は比較的簡単にすすんだ。また、欧米とアジアでは土地に対する愛着が違うことも問題が発生しなかった理由ではないか。
   

Q:

進出企業に対する税制優遇策はあったのか
A: 私が知る限りではなかった。
(イギリスの法人税率はどのくらいか?)
20%ぐらい。土地や労働力の価格は、欧州内では安い方である。

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