(3)インド進出日本企業視察

-調査結果-
インド進出日本企業視察(さくらキャピタルインディアリミティッド)
訪問先: さくらキャピタルインディアリミティッド
  21, MITTAL CHAMBERS,
228 NARIMAN POINT,

BONBAY, 400 021

tel:+91-22-288-4361 fax:+91-22-288-4367
対応者:

さくらキャピタルインディアリミティッド 社長 小林 敏彰氏
さくら銀行ムンバイ(ボンベイ)支店 支店長 古田 章氏

 
◆企業データ
創立: 1995年10月
従業員数: 28人
資本金: 2.3億ルピー(さくら銀行75%、現地法人25%)
業務内容: ノンバンク業務

▼説明内容
(ア)インド・ソフトウェア産業の概況
 
これから何年かを展望して、インド国内に多数の日本企業が進出してくることことを見込み、銀行業務だけではなく、証券・リースなどのできる事務所をさくら銀行として設けたいという趣旨で設立された。
主な事業内容としては、(1)「ファンド業務」としてリース業務が7割弱、(2)「アドバイザリーサービス」では、日本企業13社のべ24案件を調査委託を受けている(無償で対応した案件は無数にある)。
   
(イ)日本企業からの委託調査の例
 
大手のソフトウェア企業からのインドでの関連業界の調査や同社商品のマーケティング調査。
医療関係で直接事業を実施し、合弁企業を検討していた企業があった。環境の悪いインドでの滅菌器の販売を主としていたが、私立の病院にはすでに導入がされており、逆に公的医療機関では煮沸滅菌だけであり予算が付きにくく対応しきれない状況がある。この場合、現状では無理であると回答した。また、医者や看護婦の衛生管理がまだまだしっかりしていない。
何らかのかたちで日本企業がインドへ進出できるようにする以上に、インドに進出するからには成功してもらいたいと考えており、成功できそうにない場合はその旨の回答を出すことにしている。
   
(ウ)その他業務
 
代金回収業務など、枠組みを決めないでインド国内で事業を行う日本企業のお手伝いをやっている。
   
(エ)インドでのビジネスについて
 
80年代ごろは、日本企業のインド進出は全くなかったが、95?96年頃から急速に日本企業が進出し始めている。核実験の話がでたりして98年ごろ一時的に景気が下向いたがようやく若干ではあるが上向いてきた。日本企業のインドビジネスはまさに始まったばかりである。
ソフトウェアについては、日本よりインド企業の方が進んでいるとさえ感じることがある。グローバルにみた日本の危惧とインドの技術すばらしさと、学歴の高さや若さに日本のソフトウェア産業は大丈夫かとさえ感じる。コストパフォーマンスの高さも評価できるところである。
人がいっぱいいるし、人件費が安い。政府の後押しがある。しかし、政府が力を入れるのは、全くの外貨稼ぎが目的と思われる。
ソフトウェア産業の進化と産業の情報化については、インド政府としては特に問題ではなく、外貨稼ぎと、雇用創出、頭脳で勝負できる点のみに関心があると思われる。
インド最大手の金融機関でさえ、情報化投資は進んでいない。国内の情報化とのギャップはかなり大きい。インド国内ではY2K問題はあまり問題ではない。
96?97年には、インドソフトウェア企業が共同で事務所を構えるなど、インドソフトウェア産業は、アメリカにかわる日欧が市場のターゲットとしはじめている。子のような動きもあり、日本企業がインドに発注しやすくなっている。
ソフトウェア産業の人件費について、インド国内では大変高いが、先進国に比べて低い。当面はこの状況が続くと思われるが、いずれ先進国に追いつくと考えられる。
アメリカ系企業のなかには、インドの同産業の人件費の上昇から、フィリピンへシフトし始めている感がある。
合弁契約案づくりの仕事では、契約書類にはなんでも書くように話をしている。あたりまえと思うことも書くことがトラブルをさける秘訣である。「わかるだろう」とか、「当たり前だ」といった発想は失敗を生む。

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