(4)サプライチェーン・マネジメント(SCM)の現状について【キース・ベネット氏講演録】

サプライチェーン・マネジメント(SCM)の現状について
キース・ベネット氏講演録
講 演「Supply
Chain Management」

講 師:Mr. Keith Bennette (President, Symphony Systems)
▼講師の経歴
Mr. Keith Bennette  マサチューセッツ工科大学卒業。スタンフォード大学物理学博士。カリフォルニア州パロアルトにあるソフトウエア開発企業シンフォニー・システムズ社社長。
 同社設立前、多国籍のベンチャー企業にコンサルタントとして勤務。ここでサンマイクロシステムズのジャパ・プロセッサーの研究や、「Java革命?インターネッ
ト・ゴールドラッシュの夜明け」等の出版(共著)を行う。
 分散型コンピューティングがビジネスパートナーの間の相互関係を変え、サプライチェーンへと拡大していく可能性についての研究にも携わった。
また、カリフォルニア所在の情報系企業ニューポート社(Newport)勤務時代には、日本法人設置に携わり、社長として勤務した経験を持つ。

▼講演内容
(ア)SCMとは
 
コーディネーターとしての役割
→サプライヤーから工場、ユーザーまでをつなぐもの。Value Chainと同じ意味である。
ソフトウエアの内容
→Value Chain全体の在庫管理、輸送のマネジメント、出荷工場の決定、機会のスケジューリングなどを行う。これらの結論決定を支援するソフトである。

→配送計画、需要見込み(モデリングして見込む)、先進的スケジューリング、 データ交換などが要素としてある。
   
(イ)SCM登場の背景
 
パソコン市場への対応
アメリカのパソコン市場での利用から。技術の革新で、パソコンは1週間で1% 価値が下がっていくような商品になった。このため、下請けから生産、完成、小売りまでの期間を短縮し、価値の低減に対処する必要があった。
社内管理ツールの発展形
SCMはもともと製造業の社内プラニングソフトがベースになっており、これに インターネットの普及が加わって、企業間のデータ交換が自由にできるようになったことから出来上がってきたものである。いわば、企業を超えたERPという
ような側面もある。
顧客嗜好の変化
製品のライフサイクルが短くなるとともに、顧客の好みも複雑になってきた。多種の製品を生産する必要があり、これにどう対処するかが問題となってきた。
   
(ウ)SCMによる納期の短縮
 
ベインターネット、Eコマースの発展がビジネスのスピードを高めている。航空券予約のように人間を介さず、自動で行う業務も多く出てきている。
こういった背景の中、製造業の納期は圧倒的に短縮されてきた。(鉄の生産など でも、受注から出荷まで、かつては3ヶ月かかったものが、今は4時間である。)
   
(エ)HCLの取り扱うSAPと導入
 
これまで安全在庫に頼っていたものを在庫状況の自動把握、出荷日時の自動計算、リアルタイムのカルキュレーションを行うように変化。
SCMの目的は、機械等の資産を適切にアロケーションすることと、お客の要求に 合わせたすばやい出荷をすることにある。
   
(オ)SCMの課題
 
問題となってくるのは、モノをつくるのに何が必要かを整理し、資源の状況をまとめておく必要があるということ。どのくらい調達にかかるのかのデータ収集である。
下請けの納期、有効在庫をソフトウエアにインプットしていかないと機能しない。ビジネスパートナー間のビジネスプロセス統合を図り、自動化していくことが次の
課題。
   
(カ)SCM導入のキーポイント
 
どういう結果がほしいのかをはっきりさせることが最も重要。つまり、SCMで何を したいのかということを明確にすること。
こういった簡単なことをよく考えることが大切で、十分考えられていないと失敗する。 細かい情報を入れ続けるにも、これをやりたいという意図がないと、意味のない数字を入力するという無理な作業になり、すぐに失敗する。
   
(キ)その他
 
SCM導入に適した業種というのものはある。親会社から受発注の仕様が決められているような場合は、SCMには適さない。
中小企業向けのパッケージだと、導入費用は1千万から1億円の間くらいになるのではないか。

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