(4)シンガポール情報化事情調査【日本大使館】

-調査結果-
シンガポール情報化事情調査
●日本大使館
訪問先: 日本大使館
  16 Nassim Road Singapore
258390
Tel: +65-2858855 Fax: +65-830-3525
対応者:

宇野氏、西林氏 ほか

シンガポールは、国家政策目標をはっきり持っている。但し、半独裁的国家である。
運輸・通信。アジアのハブとして海運、空港なども優れている。
今までは、日本をシンガポールが学んでいたが、逆になってきている。インターネット時代の日本では、英語ができることが必要となってくる。
シンガポールの成長は、独裁的国家である以上に、規模的にみて小回りがきくことが大きな要因となっている。
97年からのシンガポール・ワン計画において、高速ネットワークを構築して商業用にも解放している。徐々に教育機関や公共機関に浸透をさせている。
21世紀に向けた計画をたくさんもっているが、情報関連としてはIT21という計画を策定している。

▼投資環境について
一種の場貸しを生業とする国家であり、貿易から始まった金・モノ・情報がクロスする経済として様々な外資を受け入れて成り立っている。
製造業では国内では3割しかまかなえず、7割は外資に依存している。ストックベースでは日本がトップで、フローベースではアメリカが3割で日本その他の国が占めている。
技術もお金もないため、外資依存度は必然的に高くなってくる。それによって雇用が創出できることが国家戦略になっている。
人口規模から見て雇用を受け入れるには限界があり、知価社会(ナレッジ・ベースエコノミー)として、情報に付加価値を見いだしていくことを重要視している。そういった意味で、情報の場貸しを始めている。
97年8月の通貨危機により、アジア各国の冷え込みは、特にアセアン諸国の影響がシンガポールへ及んだ。アセアンの部品をシンガポールでアセンブルして輸出するような相互依存関係や、観光やインドネシアのお金持ちの訪れの減少はシンガポール経済にとって多少なりとも苦しい状況をもたらした。
通貨危機によるシンガポール経済の冷え込み以降、アセアン経済が回復してきているか、外資がいかに関心を持ってくれるかといった問題意識があった。
外資を引きつけるためには、施策的に105億S$のコスト削減策を打ち出した。うち70億ドルS$は公務員のサラリーカットであった。他の国ではなかなかできることではない。
平成12年2月にジェトロ主催で経団連が大手企業を実質投資につながるミッションを派遣予定。
シンガポールやアセアン諸国から日米欧へ投資勧誘説明を目的としたミッションを派遣(ロードショウ構想)を実施(日本へは平成12年2月予定)。
シンガポールから地方への進出として、シンガポールをベースとして、他のアセアン諸国やラオス・カンボジアなどへの新たな展開を検討している。
  外資に対して、高品質のインフラ整備をし安く提供するため、ケーブルTVによるインターネットや2Mの無線LAN導入について検討している。無線LANについては技術的に補うため日本の協力を得たいと考えている。
  インフラを整備する一方期待するのは、シンガポール・ワン計画を通じてアプリケーションソフトやコンテンツ分野での開発をする企業が集積ことである。

▼ベンチャー企業支援・育成について
ベンチャー基金として10億S$で起業家支援をしている。外資を取り込むことが前提であり、この施策はまだ立ち上げ手間もなく実績としてはあまりでていない。外資のベンチャーがシンガポールで活躍してくれることが重要視されており、ベンチャーキャピタルのハブといった考え方がある。
ベンチャー企業について、国としては外資を期待しており後押しできないが、ビジネスとしてのメリットを感じて民間レベルで日本のインキュベーション施設へ入ることはあるかもしれない。
国内の民間企業はあまり力を持っているとはいえない。大手は政府の持ち株会社であって、ベンチャー企業の育成は政府の蛸足の状況もある。官民一体ともいえるところであり、市場をみた政府の考え方は評価できると考えることもできる。

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